イシガメ・クサガメ・アカミミガメの飼育(特別保存版Ver.2)

飼育は手間がかかる?
●イシガメ、クサガメ、アカミミガメは昔から飼われている水ガメで、根強い人気があります。きちんと飼えば大きな病気にもならずに、30~40年生きていてもおかしくないです。
●水場と陸場の環境、紫外線を出す爬虫類用の紫外線ライト、赤外線を出すバスキングライト、エサ、水替えが飼育のポイントになります。
●いわゆるカメの甲羅干しは、昼に水場から陸場へ上がって、太陽に甲羅を向けて光を浴びていますが、これは温度を体に吸収して熱を作り、太陽光に含まれている紫外線から、骨や甲羅の成長に役立てているのです。
環境
●基本的にケージ内に水場と陸場を設けます。
●ケージは水槽やタライ、衣装ケース、コンテナなどの容器を使用し、カメの背甲が隠れるくらいの水を張り、その中に陸場を作ります。
●水場の水はカルキ抜きした水も進められていますが、それほど気にしなくても大丈夫です。病気のカメではカルキ抜きした水やエアーポンプで酸素を提供すれば、カメにとってはよい環境になります。
●水のフィルターはカメと水槽が小さい時にしか役にたちません。カメの脱皮した皮や甲羅はフィルターにつまりやすいです。定期的に全部の水交換した方が断然衛生的です。
●カメは緩慢なイメージがありますが、実際は活動的で、広いスペースで飼育することが理想です。具体的な飼育スペースの決まりはなく、幼体では小さい容器やケージでも飼育できますが、成長が早いため、体の大きさにあった広さのケージを用意しなければなりません。
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●大きく成長すれば、ベランダや庭にカメを放し、その中で自由に入れる水を入れた容器(水場)を設置して飼えます。太陽光を浴びることができますが、日陰を設けることと、ベランダからの落下や庭からの脱走対策は必ず考えないといけません。
●水場は運動不足を防ぐためにもカメが自由に遊泳できる広さが理想です。しかし、水底に石を敷くこともありますが、水が汚れたり、エサの食べかすや糞がたまって不衛生になり、掃除も大変になるため、基本的にはお勧めしません。
照明・温度
●屋内飼育では骨や甲羅を丈夫にするための爬虫類用紫外線ライト、熱を出して体温をあげる爬虫類用赤外線ライト(白熱電球)を設置します。
●ケージ全体が照射されるように紫外線のための爬虫類用紫外線ライトをケージの上に設置します。爬虫類用紫外線ライトは熱がほとんど出ていないので、熱源にはなりません。
●爬虫類用赤外線ライトをケージの上や端に設置して陸場に照射するようにしてください。局所的に陸場に高温の部分をつくり、カメの体温を上げる(甲羅干し)ためのホットスポットにします。カメは自ら陸場に上がって甲羅干しをします。体温が十分に上がると、カメは水場に戻ります。
●カメはホットスポットによって至適体温になると活動的になり、体温が上がりすぎると、温度の低い水場に移動します。したがって適切なケージの大きさは一概にいえず、温度設定ならびに温度勾配を設けることが重要です。
●一般的に水ガメの至適環境温度域は25~35℃(ホットスポットは30~35 ℃、水場は25 ℃)です。夏の水温は至適環境温度域を確保できることが多く、水中ヒーターは不要になります〔安川 2007(3)〕。
●クサガメ、イシガメ、ミシシッピアカミミガメは通常11月頃から冬眠に入りますが、飼育下で冬眠させるかは、飼育者の考え、ならびにカメの状態にもよります。冬眠させない場合は、屋内にて適温で飼育します。
●屋内で保温して飼育しても、冬になると食欲が落ちるカメが多いです。病気との鑑別は動物病院で診察してもらいましょう。冬眠さるかの最終的な判断は飼い主の選択になります。冬眠させた方が長生きするという考えもあります。しかし、幼体、体重が軽いカメ、病気のカメなどは冬眠させないで下さい。
●紫外線も赤外線も照射できるメタルハライドランプは便利です。メタルハライドランプを使用する場合は陸場を中心に当てて下さい。
・水中だけでは十分な運動量がかせげない?
・水槽に床石は敷かないほうが楽
・太陽光による甲羅干しをさせてあげて
・甲羅干しができない時は、赤外線ライトと紫外線ライトを使う
・水槽内で温度勾配をつけるのが難しい
・冬眠は健康体のみさる
エサ
●エサは水ガメ用のペレットを主食として与え、その他の食材はバラエティーをつけるための動物性タンパク質のエサや野菜、水草などは副食程度にします。
●ペレットは水の中で浮く浮上性のタイプを使用するとカメは食べやすく、水も汚れにくいです。
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●動物性タンパク質として、煮干しや肉片、コオロギなどの昆虫、ミルワームやミミズなどを与えます。
●食べるようであればコマツナやチンゲンサイのような野菜や水草を少し与えても良いですが、食べカスで水が汚れますので、カスを網ですくったり、水替えの頻度が増えます。
●エサを与える間隔は、幼体は毎日、成体は週に1~3回程度です。1回に与えるエサの量はカメの頭2つ分くらいでよいとされていますが、実際にはカメの年齢や気温などに左右されるため、カメの様子を見て加減してください。食べかすは糞とともに水を汚し、皮膚病の原因になるため、早めに取り除きましょう。
●馴れたカメはエサの時間になると人に寄ってきて、手からエサを食べるようになります。
水換え
●水ガメは水中でエサを食べ、排泄もするために、水が汚れやすくなります。皮膚病やシェル・ロットならないように、衛生状態を保つため水替えは頻繁に行いましょう。特に夏は毎日、頻繁に水換えをしないと、水槽に苔がはえて、臭ってきます。
●水量に見合ったろ過器を使用することで、多少水替えの頻度を少なくできますが、多くのフィルターは魚の排泄物を生物学的に分解するもので、カメの排泄物を分解するには限界があります。あくまでも水換えの間隔が少し長くなる程度と思って下さい。
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●水ガメはサルモネラ菌の保留率が高いです。爬虫類に感染するサルモネラ菌は爬虫類には無症状のことが多く、人に感染すると嘔吐や下痢などの消化器症状が起こり、人獣共通感染症(ズーノーシス)として有名です。水換えの後に水槽も殺菌するために日光浴や消毒をするように心がけましょう。
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●水ガメはきちんと水替えをすれば臭いませんが、臭う場合は以下の対策を読んで考えてみて下さい。
・昆虫や野菜は副食程度
・野菜を与えると水が汚れる
・夏場は水の交換は毎日
・掃除は水洗いだけでなく消毒もする
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参考文献
■安川雄一郎.イシガメ属、イシガメ属とその近縁属の分類と自然史(前編).クリーパー39.クリーパー社.東京.p18-44.2007(1)
■安川雄一郎.イシガメ属、イシガメ属その近縁種の分類と自然史(後編).クリーパー40.クリーパー社.東京.p30-67.2007(2)
■安川雄一郎.アカミミガメ属(スライダーガメ属)の分類と自然史1.クリーパー36.クリーパー社.東京.p18-57.2007(3)