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リクガメの飼育(特別保存版Ver.3)

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ギリシャリ・ヘルマン・ヨツユビ・ホシガメの飼い方

リクガメを飼育するのは知識が必要とされ、適切な飼育環境をつくるために様々な飼育グッツをそろえないといけません。性格がデリケートである個体が多く、環境が変わると馴れるまでエサを食べなかったりするかもしれません。

昼行性のカメなので、昼は日のあたる場所に移動して甲羅干しをしていますが、これは活動するために体温をあげてエネルギーをつくり、さらに太陽光に含まれている紫外線は、骨や甲羅の成長に必須なものです。

爬虫類の病気と飼育の考え方について!

環境

ケージ

ケージは爬虫類用ケージを使用すると便利ですが、アクリルやガラス製の水槽、衣装ケース、木製ケージ、ガラス製の園芸用の温室なども利用できます。
リクガメの飼育
脱走できない高さがあれば蓋は不要ですが、もし必要とするならば通気性を確保するためにバーベキューネットのようなメッシュ蓋が理想です。
リクガメの飼育
カメは緩慢なイメージがありますが、実際はとても活動的です。広いスペースで飼育することが理想ですが、具体的な飼育スペースの決まりはありません。
リクガメの飼育
幼体では小さいケージでも飼育できますが、成長具合によって、体の大きさにあった広さのケージを用意して下さい。
リクガメの飼育
ケージは広ければ広い方がよいとしか言えませんが、反対に広過ぎると温度や湿度を保つのが難しくなり、掃除も面倒になります。
リクガメの飼育

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ケージの中で十分な運動量が得られない場合は、部屋の中で歩かせる方法もとられています。カメに広いスペースを与えることは、採餌、攻撃や威嚇、繁殖や求愛などの本能的な行動を発揮できるだけでなく、運動量が増えることで筋肉や骨が丈夫になり、胃腸の動きもよくなり、消化管のうっ滞便秘なども予防できます。

床敷には乾燥系の砂やウッドチップやバークチップなどの植物系を使用します。基本的に乾燥した環境で飼育しますが、湿度がある程度必要な種類の場合は、土系の床敷を使います。しかし、土系だと体が汚れ、糞やオシッコの掃除も面倒になる欠点があります。
リクガメ床敷
植物系のパークチップや木製チップだと柔らかいので、歩き具合を観察してベストのものを選んであげましょう。
リクガメの床敷
床敷は便宜性を優先的に考える場合は新聞紙などの紙やペットシーツでもよいです。しかし、足が滑りやすくなり、爪も伸びやすくなります。
リクガメの床敷
神経質なカメは体が隠すスペースが必要になります。素焼きの植木鉢や市販のシェルターを設置して下さい。特にヨツユビリクガメは地面に穴を掘って、その中で過ごす習性がありますので、シェルターを必ず用意しましょう。
ヨツユビリクガメ

温度・照明

カメの種類によっては日本の夏は暑すぎたり、湿度も高くなりがちです。冬は寒すぎたり、乾燥し過ぎることも多いです。温度と湿度の設定が難しいです。爬虫類用のバスキングライトをケージの端につけて照射して局所的に高温の部分を作り、カメの体温を上げるホットスポットを設けます。ケージ全体に爬虫類用の紫外線ライトを設置します。


バスキングライトでケージの中の温度を管理します。一般的にリクガメの至適環境温度域(POTZ)は、ケージ全体を28~32℃、ホットスポットを33~38℃にし、温度勾配を作って下さい。補助的に保温球やヒーターを使うこともあります。

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温度はしっかりと温度計で測定するべきです。そして、昼夜の温度変化が心配ならば、サーモスタットで温度調節することも可能です。カメはホットスポットによって至適体温になると活動的になり、体温が上がりすぎると、温度の低い場所に移動します。

ライト類は朝に点灯し、夜間は消灯します。冬になると夜は気温が下がりますので、保温球やヒーターなどで補助的に保温対策をします。成体では夜に多少温度が低くなっても問題ありませんが、幼体ではなるべく昼と同じ位の温度を保つようにしましょう。なお、薄明薄暮のビルマホシガメは明るすぎる環境が苦手で、バスキングライトは輝度が低いものを使用し、パネルヒーターなどでホットスポットの温度を設けるとよいです。
季節的に屋外にカメを出せる春~秋であれば、昼間に太陽光による甲羅干しをさせて下さい。しかし、夏の熱中症には注意しましょう。

紫外線も赤外線もでるメタルハライドランプは便利です。メタルハライドランプを使用する場合はケージの端に照射して下さい。

冬眠
ギリシャリクガメの一部、ヒガシヘルマンリクガメ、ヨツユビリクガメは11月頃から冬眠に入りますが、飼育下で冬眠させるかは、飼育者の考え、ならびにカメの状態にもよります。冬眠させない場合は、屋内にて適温で飼育して下さい。幼体から飼育する場合、小さいケージでは温度勾配をつくることが難しく、一方で広いスペースでは温度設定が難しいです。冬眠させるかは飼い主の選択になります。冬眠させた方が長生きするという考えもあります。しかし、幼体、体重が軽いカメ、病気のカメなどは冬眠させなずに、冬も保温して飼育します。

冬眠させますか?その話はコチラ!

紫外線ライトは甲羅や骨に必要なカルシウムの吸収を促進します。屋内飼育で紫外線ライトを照射しないと、成長不良や代謝性骨疾患(MBD)になります。
紫外線ライト

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湿度

陸生というイメージが優先して乾燥しがちな飼育環境を作りたがりますが、種類によっては下記の表のように最低の湿度を保つ必要があります。

表:湿度

湿度 種類
多湿気味 60-80% アカアシガメ、エロンガータリクガメ、セオレガメ、ムツアシガメ、インドホシガメ(時々散水程度でよい)、ビルマホシガメ、ゾウガメ等
やや乾燥 50-60% フチゾリリクガメ、ヘルマンリクガメ、ヨツユビリクガメ等
乾燥 40-50% ケヅメリクガメ、ヒョウモンガメ、チャコリクガメ、ソリガメ、ギリシャリクガメ等

理想の湿度は40~80%と種類によって異なります。湿度が不十分で脱水が起こると、脱皮不全、消化管のうっ滞、腎不全ならびに痛風、膀胱結石の発症要因になります。日本では夏は湿度が保てますが、乾燥する冬は温度を上げるために、保温することで乾燥してしまいます。湿度を保つためには、飲水用の水容器をケージ内におくだけでも多少は上がりますが、ヤシガラ土などの保湿系の床敷を敷くのも一方法です。

ホシガメ類は雨季と乾季がある地域に生息しているため、湿度に関しては様々な論議がなされています。基本的には乾燥した環境で飼育して、朝夕に散水などの保湿の策をとる、あるいは雨季の期間が長く乾季は非活動的になるため、多湿な環境(湿度は60~80%)を作るべきともいわれています。

温浴

リクガメは陸で生活していて、ほとんど水に入ることはありません。しかしペットでは温浴をすることが勧められています。温浴をすると甲羅もきれいになり、そして食欲も出てきて、動きが活発になってきます。同時に水を飲むために、便秘になりがちのリクガメでは排便もるようになります。リクガメの温浴は賛否両論で、してはいけないという考えも出ていますが、衰弱しているカメではおぼれさせないこと、そして、長時間の温浴でお湯が冷めて体が冷えないようにすれば問題ないと思います。
リクガメの温浴

屋外飼育

大きく成長すれば、ベランダや庭にカメを放して飼うことができます。屋外飼育は自然に近い環境で生活が送ることができます。太陽による自然光の恩恵をうけられ、自らエサや休む場所を求めて移動し、かなりの運動量になります。骨や筋肉がしっかりとするだけでなく、胃腸の動きもよくなります。リクガメにとって理想的な形だといわれています。

屋外飼育は簡単に出来ることではなく、様々な準備が必要になり、注意することもたくさんあります。今まで屋内のケージで飼育していたリクガメを、突然屋外飼育に切り替えるのは危険です。週に数回屋外に出す時間を設け、徐々に慣らす必要があります。病気のカメや幼体は、無理して屋外で飼育しないで下さい。

ベランダでの飼育の場合、脱走しての落下事故が多く聞かれます。ベランダの周りを囲うなどの対策が必要です。また、庭での放し飼いをする時は脱走に注意しましょう。庭で飼育する場合、リクガメによっては土を掘って脱走することもあるため、地中も30㎝ほど壁を埋めておくなど脱走対策が必要です。地面を掘ることを好むヨツユビリクガメでは注意しなければなりません。犬や猫、鳥などの外敵からの攻撃にも注意しなければなりません。囲いを設けたり、金網で覆ったりするような対策が必要かもしれません。
リクガメ屋外飼育
庭での飼育は、芝や草が生えた庭が理想で、日蔭となる低い植物などがあるとよいです。ベランダでは日が当たる場所と日陰を作り、床がコンクリートの場合は、床敷が必要になります。床敷を直にベランダの床に敷くと熱がこもるため、底上げ出来るものを用意して下さい。庭やベランダ飼育は、水が飲める状況か考えます。人の目が届かない所で、くず鉄、釘、針金、プラスチックの破片、小石などを食べると消化管閉塞を起こす可能性があります。

庭に生えている植物をカメが食べる場合は、農薬や殺虫剤の散布はしないようにしましょう。庭で飼育すると、冬になるとカメが自然に穴を掘って冬眠することもあります。どこで冬眠したのか分からなくなります。もし、冬眠させる場合は、室内飼育に切り替えて行うことをお薦めします。

ポイントはコレ(飼育環境)!
・ケージは大きくして十分に運動させる
・ベランダや庭でも飼育できる
・ケージの床敷は土系か植物系
・太陽光による甲羅干しをさせる
・甲羅干しができない時は、赤外線ライトと紫外線ライトを使う
・ケージ内で温度勾配をつける
・完全な乾燥でなく、ある程度の湿度をつくる
・温浴は毎日した方がよい
・冬眠は健康体のみさる

エサ

リクガメは草食性で、野生下では低カロリーの植物を食べていますので、繊維質の多い野菜や野草など主食にします。リクガメは歯が無くてクチバシで植物を切り取って食べます。このクチバシが伸び過ぎないように植物をカットするようなものが理想で、葉野菜だけでなく、硬い茎もしっかりと与えましょう。また、繊維質が多いエサを与えることで、腸内環境がよい状態を保ち、便通もよくなります。

クチバシが伸びた場合はコチラ!

一般的には野菜はビタミンとカルシウムが多く含まれている小松菜やニンジンなどの緑黄色野菜、野草はタンポポやオオバコなどがお薦めです。野菜や野草はしおれたり、糞やオシッコがついて汚れるため取り除いて下さい。

野菜

特にリクガメは丈夫な甲羅を持っているので、他の爬虫類と異なり、エサのカルシウムとリンの比率が4:1~6:1のものが理想で〔Donoghueet al. 1996〕、カルシウムの要求量が高いことが特徴です。与える野菜は常に新鮮な野菜を与えて下さい。ただし、冷蔵庫から取り出したものをすぐに与えるのではなく、常温にしてから与えるようにします。野草は農薬や犬猫の糞やオシッコがついていないものを選らんで下さい。

野菜や野草以外で、果物や草食性爬虫類専用ペレットを与えることもありますが、カロリーが高すぎて肥満になったり、繊維質が少ないことで胃腸の動きが悪くなる可能性もありますので、注意して下さい。特に果物はおいしいのでよく食べますが、消化不良や腸内細菌を崩す原因にもなります。もし与える場合は、エサ全体の2~3割以下にしましょう。

草食性の爬虫類の幼体および成体ともに毎日エサを与えます。カロリーが低い植物のエサを毎日とる必要があります。そして爬虫類は外気温動物なので、日の出のとともに日光浴や甲羅干しをして体温を上げてから胃腸の動きが活発になるので、午前中にエサを与えるようにします。代謝も上がり、栄養の吸収効率も上がるはずです。体温が下がる夕方や深夜にエサを与えすぎると、胃腸の動きが低下して、胃腸のうっ滞や便秘の原因になります。またエサの量は少なすぎても多すぎてもよくないのですが、与える量も決まっていません。理想的な量は、リクガメでは甲羅の大きさまでなどと言われていますが、成長具合や体重測定を行いながら加減をします。


カルシウムやミネラル不足は、紫外線不足と同様に甲羅や骨の成長に影響するため、栄養剤をエサに添加する方法が定説となっています。特にカルシウム不足による成長不良代謝性骨疾患(MBD)が多く、甲羅が柔らかくなり、甲羅や骨が変形します。積極的にカルシウム剤のサプリメントをエサを少量でも添加して与えましょう。

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ギリシャリクガメ、ヘルマンリクガメ、ヨツユビリクガメなは石灰岩の多い地中海沿岸に生息し、カルシウムが豊富な河川の水や土壌で育った植物を食べています。ビルマホシガメは昆虫や軟体動物も食べることがあるため、少量与えてもよいですが、無理に与えないで下さい。
カメのエサ
リクガメ用のペレットも市販されていますが、タンパク質の含有が多く、膀胱結石の発生要因になるので、エサとして賛否両論です。しかし、ペレットは栄養のバランスが取れたエサで、カロリーも高いので衰弱したカメには向いていると思います。

ポイントはコレ(エサ)!
・リクガメは草食
・主食は野菜
・果物やペレットは少量
・エサにカルシウム剤をかける
・水入れを置く

ケア

掃除

爬虫類は触ったりした後はよく手を洗いましょう。そしてケージなどの掃除も衛生的にして下さい。爬虫類はサルモネラ菌を保菌していることが多いです。爬虫類に常在しているサルモネラ菌は爬虫類には無症状のことが多く、人に感染すると嘔吐や下痢などの消化器症状が起こり(サルモネラ中毒)、人獣共通感染症(ズーノーシス)として有名です。水換えの後に水槽も殺菌するために日光浴や消毒をするように心がけましょう。

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リクガメの糞やオシッコの掃除や消毒はもちろんですが、臭う場合は以下の対策を読んで考えてみて下さい。

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ポイントはコレ(ケア)!
・掃除は水洗いだけでなく消毒もする
・排泄物の消臭対策もする

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ワシントンサイテスⅠなので飼育本は今後出版されないでしょう!

参考文献

■Bertolero A,Cheylan M,Hailey A,Livoreli B,Willemsen RE.Tetudo hermanni-Hermann’s Tortoise. Conserbation biology of fresh water turtles and tortoises.CRM5(4).059.1-20.2008
■Buskirk JR,Keller C,Andreu AC.Testudo graeca Linnaeus,1758-Maurische Landschildkröte.Handbuch der Reptilien und Amphibien Europas. 3.125-178.2001
■Donoghue S,Langenberg J.Nutrition.In Reptile Medicine and Surgery.Mader DR.WB Saunders Company.Philadelphia.p148-174.1996
■Ernst CH,Barbour RW.Turtles of the World.Smithsonian.inst.Press.Washington DC.1989
■Eendebak BT.Incubation period and sex ratio of Hermann’s tortoise,Testudo hermanni boettgeri. Chelonian Conservation and Biology 1(3).227-231.1995
■McKeown S.General husbandry and management.In Reptile medicine and surgery.Mader DR ed.WB Saunders.Philadelphia.p9-19.1996
■Pieau C.Effets de la température sur le développement des glandes génitales chez les embryons de deux Chéloniens, Emys orbicularis L. et Testudo graeca L.C.R.Acad.Sci.Paris274(D).719-722.1972
■安川雄一郎.チチュウカイリクガメ属の分類.クリーパー.創刊号.クリーパー社.東京.p4-19.2000
■安川雄一郎.ホシガメの分類と生活史,およびその現状.クリーパー7.クリーパー社.東京.p4-17.2001
■安川雄一郎.チチュウカイリクガメの分類.クリーパー13.クリーパー社.東京.p4-23.2002
■安川雄一郎.ゾウガメと呼ばれるリクガメ類の分類と自然史(後編).クリーパー33,クリーパー社,東京.p16-29,32.2006
■安川雄一郎.旧リクガメ属の分類と自然史1.クリーパー59.クリーパー社.東京.p51-59.2011

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